ピアノ教本、かしこく選ぼう

音楽ライター・ピアノ教本研究家、山本美芽によるピアノ教本を研究するブログです。

バスティン2からの乗り換え

ライティング研究会でのディスカッションから要約してご紹介。

 

 

 

WP202J ベーシックス ピアノ(ピアノのおけいこ) レベル2 (バスティンピアノベーシックス)

WP202J ベーシックス ピアノ(ピアノのおけいこ) レベル2 (バスティンピアノベーシックス)

 

 

 

 

 

 
【質問】
バスティン2からオルガンピアノ3に移行したのですが、バスティン2のピアノのおけいこに続く教材、どれがいいのかわからなくてちょっと困ってます。
指が随分しっかりしてきたし、物分りは良い子で、オルガンピアノ3は、途中からでもいいと思ったのですが、本人の希望で最初からやっています。かなり、余裕がある状態です。
いい教材ご存知でしたら、教えてください。
 
色々な調を沢山弾くのもいいのですが、かなり長くバスティンをやっているのて、変化が欲しくなりました。
16分音符がなかなか出てこないのも気になります。
 
 
 
【回答】
ラーニングトゥプレイ2と3を差し込んでいます。
そのへんでつまずいた子はアルフレッドピアノライブラリー基礎コース1bと2で乗り越えています。ヤマハピアノスタディのレパートリーの選曲も好きです。
 
(O先生)
 
 
私もラーニングトゥプレイです。
プレインベンションやヤマハミュージックライブラリーの中のバロックポリフォニーに進ませたこともありますが、上手くいく生徒さんとそうでない生徒さんがいました。
(H先生)
 
 
バスティン2からオルガンピアノの3最初からはたしかに易しいかもしれませんね。余裕があるのなら、いっそのことオルピ3は基礎固めの踊り場ととらえて、4を同時進行してしまうのもありかなと思います。3は簡単だからどんどんやろうね~、4はチャレンジだよ~、とか言って。
バスティンは2までだとほとんど左手を動かしていないので、そこを補える教材もいいですね。そういう意味ではバイエル後半でも。
 
あと、バスティン2終了だとメジャーのCFGDAEまで知っているので、トンプソン1の後半とかもいいかもしれません。
曲もなかなか面白いです。
 
ちなみに私はバスティンベーシックスとオルガンピアノ、弾けるよジュニアシリーズ、3冊並行で教えている子が多いです。
 
うちにも3に進まない子がいます。
本当はマイナーをがっつり学べるのでやりたいのですが、なにせ、短調が続くので、生徒によっては厳しいようです。良く出来る子は3は片手間に?やっていきます。
譜読みに時間がかかり、弾くのも苦労するタイプは、3は難しく感じることもあるので、違う本に行くことが多いです。
(F先生)
 
左手を動かす意味でも、簡単なポリフォニーの楽譜を入れてみてはいかがでしょうか?
(M先生)
 
【山本より補足】
バスティンの3は、♭5つの Des Dur、半音階、三和音の展開形、指ひろげ・指くぐり、a moll、d moll などの短調が出てきます。16分音符は出てこないですが、理論的にはかなり難しくなってきます。理屈に弱いお子さんだと、もうちょっと調の種類が少ない教本のほうが楽だなぁと感じるかもしれませんね。

ヤマハなんば店セミナー アンケートより

ヤマハなんば店でのセミナー、アンケートをいただきました。

全体的な傾向をまとめると、生徒が忙しすぎて練習してこれない。しかし楽器店に行っても新刊が多すぎてどれがうちの練習してない子に合う楽譜なのか、わからない。ということでしょうね。

今後の教本セミナーでも、練習してこない生徒に何をやらせればいいのか、何パターンか提示して、その選ぶポイントをお話ししていきます。

 

来年は、1月・2月にカワイ横浜、3月に高崎・広島で教本セミナーが決まっています。

ピアノの先生のためのセミナー

 

 

以下アンケートのお声を抜粋で。

 

●知らない教材がたくさんありました。見たことがあっても使ってみる結城がないものもあったし、研究してみようという本も見つかりました。

 

●初見の練習に適した教材もあり、練習する時間のない生徒などに使ってみようと思います。

 

●昭和の王道でレッスンを受けてきました。新しい教材を取り入れて、生徒さんに楽しんでいただけるよう工夫していきたいです。

●パラパラ見るだけではわからないポイントや教本セミナーとは違い、使う立場でのアドバイスがとてもよかったです。

●何の教材がいいのか、いまさら誰にもきけなくて、とりあえず最初に使った本(バイエル、オルガンピアノの本、みんなのおけいこ、ソナチネ、ブルクミュラー)をずっと使ってきました。今日、いろいろお話が伺えて、ほかにも気になっていた本の特徴などが聞けてとてもよかったです。

 

●フルートの講師をしています。いまピアノを習っている生徒がどんなレッスンを受けているのか知りたくて参加しました。ピアノからフルートに変更した生徒を教える参考になりました。

●広島からの受講でしたが、とても勉強になりました。あまりにも新刊が多く出版されていて、把握できないものだらけで、いつもの教材から抜け出せないままでした。今日のセミナーを受けたので、再度楽譜の中身を見直してみようと思います。

 

●最近新しいメソッドが沢山出ていて、そのたびに買うのですが、実際には子どもに渡すことなく、自分の勉強のみになっています。メインでは、ピアノランド、バーナムを使い、理論のために最近バスティンを導入しています。

 

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ちなみに、レッスンの悩みや問題点についても書いてくださいました。

 

●中学生になると忙しくてやめる

●教材が多すぎて、生徒さんにあった教材を探すのが大変

 

●他からうつってきた生徒の修正にどの教材を使えばいいか悩む

●家庭の協力をしていただける生徒さんと、そうでない場合の差が大きい

●練習しない生徒。生徒が少ない

●練習してこない。本人が心から楽しんでいるのか不安。

●練習時間がとれない子が多いです

●子どもたちが忙しすぎて、グループレッスンでやりたいこともできない。

●つまづく生徒を続けさせるレッスン方法。テキストのりかえも重要ですね。

●教本にあわせての曲集選びに困っています。

●幼児の導入のしかたやテキスト選び

 

知らないことは、まず自分で調べる

いまから20年ちょっと前の話です。

大学院では、音楽教育学を専攻していました。

修士論文、何書こう。


入学したときから、ずっと考えていました。



でも、論文なんて書いたことないし、研究もしたことないしな。



授業がはじまり、第一線の研究者である先生方が教えて下さったのが、


研究は、先行研究のレビューから始まる



ということ。

まずは、これまでどういう研究がなされたのか検討して、不十分なところを見つけたら
そこを研究するわけです。

この先行研究レビューに1年かかり、修士論文テーマが決まったのは、2年になる頃。遅かったです。


ライターになってからも、この教えは必ず守ってきました。


知らないことは、自分で本を片っぱしから読んで、調べる。借りて、買って、図書館に行って、調べる。日本語文献になければ、英語文献をあたる。


インタビューに行く前、アルバムリリースをしている人ならば、できれば全部、全部が無理なら、できるだけ多くのアルバムを聴いていきます。過去の雑誌インタビューも読んでいきます。


下調べだけでもインタビューには不十分で、問題意識や思考の反射神経も研ぎ澄ませなければなりません。


いまでは、グーグルで検索すれば、英語の論文も、ライブ動画も、知らない用語の説明も、たくさん出てくる時代になりました。

あとは、自分で調べようという意欲ですね。


調べてもわからないこと、どうやって調べたらいいかわからないことは、もちろんたくさんあるわけで、そこを人に質問すれば良いのだと思います。

ピアノアドベンチャーのうさぎ指

f:id:mimeyama:20151212074537j:image

うさぎ指、とペースメソッドの研究会で言っているものが、ピアノアドベンチャーのプリマーにも載っていました。

音階の出てくるページでも、3の指に支えを入れた指、で弾かせています。

Brace L. H.  finger 3

Brace R.H. finger 3. 

と、書いてあります。

Braceは、支えるという意味ですね。うさぎ指の英語正式名称。


ロシア奏法のピアノ教本でも、音階は最初に3の指で弾かせます。

ロシア奏法によるピアノ教本 はじめの一歩 1

ロシア奏法によるピアノ教本 はじめの一歩 1



ピアノアドベンチャーの著者は、ペースメソッドを勉強しており、ペース先生は、ジュリアードでレヴィン夫妻からロシア奏法を学んでいますから、なるほど、つじつまあっています。





ペースメソッドでも、この指は導入に出てきますね。

Piano Adventures - Primer Level: Lesson Book

Piano Adventures - Primer Level: Lesson Book


「ブルクミュラーに入る時期」アンケート

goo.gl

 

 

「ブルクミュラーに入る時期」について、セミナーを行うことになりましたので、アンケートをとっています。導入教本の売れ筋と、ブルグミュラーに入る時期の売れ筋は異なっていることもわかってきました。実態の把握に、ぜひご協力ください。


2月18日 木 カワイ横浜のセミナーで、まとめと考察をお話しします。詳細こちら。

http://www.piano.or.jp/seminar/list/smmb_s_info/2012848

 

 

大人の導入教本

大人の生徒さんまったく初心者のかた向けの教本は何がいいんでしょうかと質問をいただき、フェイスブックで仲良しの先生方に教えていただきました。

シニアピアノ教本



ドレミの「おとなのためのピアノ教本 橋本晃一


ヤマハ「大人のためのピアノ悠々塾 入門編」


ブラインドタッチで弾ける おとなのための楽しいピアノスタディ(1)

バスティン

などかあがりました。



ちなみに、私はアメリカにいたころ、地元のコミュニティカレッジでピアノの単位を取ったんですが、そのときは、初心者がキーボードのたくさんあるLL教室みたいなところで、いま話題のピアノアドベンチャーの大人向けのテキストを使っていました。