ピアノ教本、かしこく選ぼう

音楽ライター・ピアノ教本研究家、山本美芽によるピアノ教本を研究するブログです。

C.P.E.バッハのピアノ教本 1753年

Versuch über die wahre Art das Clavier zu spielen – Wikisource

 

やはり文章が多くて、教則本というより解説書といった見た目ではありますが、

マールプルクの本よりは楽譜が多いです。

Seite:Versuch über die wahre Art das Clavier zu spielen Teil 1 1759.pdf/129 – Wikisource

このような教材曲も載っています。

Seite:Versuch über die wahre Art das Clavier zu spielen Teil 1 1759.pdf/135 – Wikisource

 

載っていますが、やっぱり現代のレッスンではこのままでは使えないですね。

 

広島大学紀要に載っている小野亮祐先生の論文

レーラインの鍵盤楽器教本研究1 : 1765年ごろドイツ語圏において流布していた鍵盤楽器教本との比較研究 - 広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 54号 - 学内刊行物 - 広島大学 学術情報リポジトリ

 

その後に発表された北海道教育大学釧路校研究紀要に載っている小野亮祐先生の論文

http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/7307/1/kusiroron-45-11.pdf

 

などが、日本語でのわかりやすい論考なので参考になります。

ざっくりいうと、この時代のピアノ教本は、指使いや装飾音などについて書いてあるので、初心者向けの手ほどきというのとは趣旨が違います。

 

でも、小野先生が論文のなかで指摘されていますが、マールプルクは「静かな手」、つまり5指ポジションが初心者にはやりやすい、という趣旨のことを述べており、その後19世紀の教本では5指ポジションから始めるものがいくつも見られている。

 

5指ポジションという考え方が18世紀後半にあり、19世紀になって実際の楽譜教材となってくるわけですね。

 

 

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