ピアノ教本、かしこく選ぼう

音楽ライター・ピアノ教本研究家、山本美芽によるピアノ教本を研究するブログです。

歴史と特徴 使用テキスト2

 

ピアノの学校(1) コダーイ こどもの音楽教育 加勢るり子訳編

ピアノの学校(1) コダーイ こどもの音楽教育 加勢るり子訳編

 

 

 

日本語ライセンス版 トンプソン : はじめてのピアノ教本 第1巻

日本語ライセンス版 トンプソン : はじめてのピアノ教本 第1巻

 

 

 

バーナムピアノテクニック(ミニブック)

バーナムピアノテクニック(ミニブック)

 

 

 

 



 

ベーシックス ピアノ(ピアノのおけいこ) プリマー WP200J

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アルフレッドピアノライブラリー 導入コース レッスンブックB

アルフレッドピアノライブラリー 導入コース レッスンブックB

 

 






歴史と特徴 使用テキスト1

 

新版こどものバイエル(下)

新版こどものバイエル(下)

 
新版こどものバイエル(上)

新版こどものバイエル(上)

 

 

 

五線ノート メトードローズ

五線ノート メトードローズ

 

 

トンプソン 小さな手のためのピアノ教本

トンプソン 小さな手のためのピアノ教本

 

 

 

ニュースタンダードピアノ曲集 バルトーク ミクロコスモス(1&2) (ニュー・スタンダード・ピアノ曲集)

ニュースタンダードピアノ曲集 バルトーク ミクロコスモス(1&2) (ニュー・スタンダード・ピアノ曲集)

 

 



 



ポジション移動がどこにでてくるか把握する


ピアノ教本によってポジション移動が出てくる順番は大きく異なります。

例えばオルガンピアノでは1巻ですが、ピアノひけるよジュニアでは3巻です。ピアノランドでは2巻、ぴあのどりーむは3巻、バスティンベーシックスは1巻です。ポジション移動になって混乱するお子様はある程度の割合で必ずいて、自信をなくして退会する事例も少なくありません。

いつポジション移動が出てくる本を与えるか、指導者は生徒の能力や家庭での練習状況を観察して選ばなければなりません。

4月から、この「乗り換え」をテーマにしたセミナーを各地で行います。

4月27日渋谷

5月1日金沢 楽器センター金沢http://gckanazawa.kaishindo-music.co.jp/pianos/2017/04/17/51山本美芽先生公開講座コーナー!/

6月29日 東京 池上スター楽器

7月13日 東大阪 小阪楽器

9月6日 浜松カワイ

 

単行本もあわせてご覧ください。

 

ピアノ指導者のためのピアノ教本ガイド

ピアノ指導者のためのピアノ教本ガイド

 

 



 

ポジション移動がどのようにそれぞれの教本で扱われているか、売れ筋5冊は、全曲を弾きながら検討します。

C.P.E.バッハのピアノ教本 1753年

Versuch über die wahre Art das Clavier zu spielen – Wikisource

 

やはり文章が多くて、教則本というより解説書といった見た目ではありますが、

マールプルクの本よりは楽譜が多いです。

Seite:Versuch über die wahre Art das Clavier zu spielen Teil 1 1759.pdf/129 – Wikisource

このような教材曲も載っています。

Seite:Versuch über die wahre Art das Clavier zu spielen Teil 1 1759.pdf/135 – Wikisource

 

載っていますが、やっぱり現代のレッスンではこのままでは使えないですね。

 

広島大学紀要に載っている小野亮祐先生の論文

レーラインの鍵盤楽器教本研究1 : 1765年ごろドイツ語圏において流布していた鍵盤楽器教本との比較研究 - 広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 54号 - 学内刊行物 - 広島大学 学術情報リポジトリ

 

その後に発表された北海道教育大学釧路校研究紀要に載っている小野亮祐先生の論文

http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/7307/1/kusiroron-45-11.pdf

 

などが、日本語でのわかりやすい論考なので参考になります。

ざっくりいうと、この時代のピアノ教本は、指使いや装飾音などについて書いてあるので、初心者向けの手ほどきというのとは趣旨が違います。

 

でも、小野先生が論文のなかで指摘されていますが、マールプルクは「静かな手」、つまり5指ポジションが初心者にはやりやすい、という趣旨のことを述べており、その後19世紀の教本では5指ポジションから始めるものがいくつも見られている。

 

5指ポジションという考え方が18世紀後半にあり、19世紀になって実際の楽譜教材となってくるわけですね。

 

 

山本の新刊予約はこちらです。


ピアノ指導者のためのピアノ教本ガイド https://www.amazon.co.jp/dp/4276148006/ref=cm_sw_r_cp_api_3Hn4ybWVKQJ09

 

 

マールプルクのピアノ教本 1750年、1755年

バイエルピアノ教則本は1850年ドイツのショット社が初版であると、安田寛先生が調べられました。

それよりも昔から、鍵盤楽器の教本というのは存在していました。

バイエルが出るおよそ100年前の1750年、マールプルクの

Die Kunst das Clavier zu spielen 

の初版が出ています。

 

pdfで見られる楽譜がネット上にないか探してみました。

マールプルクについてまとめたページ

Friedrich Wilhelm Marpurg – Wikisource

ここから初版以降の4つのバージョンが見られます。

 

文章ばっかりで、楽譜が少ない。しかも楽譜も、ドレミファソラシドがどこにあるのか、音符の長さ、休符の長さの図みたいなものが多く、いわゆる初心者が弾けそうな簡単なフレーズなどは載っていません。

 

もうひとつ、1755年にもマールプルクは鍵盤楽器の教本を出しています。

Anleitung zum Clavierspielen

これもスキャンしてあって見られるのですけど、

文字ばかりです。

 

MDZ-Reader | Band | Anleitung zum Clavierspielen / Marpurg, Friedrich Wilhelm

 

私には1700年代のドイツ語を解読する能力はなく、詳細については

ご専門の音楽学者の研究成果を参照したいと思いますが、

これらの文字ばかりの解説書の体裁では、現代の導入のレッスンでは使えませんが

100年後のバイエルになると、いまもレッスンで使えている。

この進歩は、すごいです。

 

 

ピアノ教本ガイドブック 生徒を生かすレッスンのために
 

 

 

ポジション移動

明日のセミナーのために、使う楽譜を見直しました。
お題はポジション移動。
また見直すと、発見がありました。

耳重視、指重視というスタンスの違い。
指ひろげと、ポジション移動、どっちを先にもってくるか、並行するか。
それによって、弾ける音域やメロディの動きも決まるります。既存曲にするのか、著者オリジナルにするのか。

2時間で、できる限り整理整頓、わかりやすくお話します。

f:id:mimeyama:20170129233531j:image


あす1月30日、武蔵小金井宮地楽器にてピアノ教本セミナー第2回です! ピアノひけるよジュニア2から3へ進む際の問題について、ポジション移動を切り口にお話します。
詳細こちら。

http://koganeishop.miyajimusic.jp/event/book_seminar/

カワイ梅田 教本セミナー

火曜日の夜に移動して、水曜日に
ピアノ教本セミナーです。
カワイ梅田は初めて。素敵なシゲルちゃんこと、シゲルカワイのピアノがあるんですよね。
全国各地でお話してきましたが、まだまだ行ってないところ、たくさんありますね!
「ピアノ教本、くらべてみよう」
[日程]
1/18(水)10:30-12:30(大阪)
[会場]
カワイ梅田 コンサートサロン“ジュエ”
(所在地:大阪府大阪市北区梅田1-1-3)
[受講料]
会員 2,500円 (KLC, 音研会, ピティナ, カワイメンバーズ)
一般 3,000円
[使用教材]
「ムジカノーヴァ2017年1月号」(音楽之友社
※当日会場で販売致します。
[内容]
日本で現在使われている主要なピアノ教本には、海外から輸入されて定着したものと、それらの影響を受けて作られた国産のものがあります。これらについて、全体の大まかな歴史とポイントを概観します。具体的にはミドルC、全調、スキップとステップ、連弾、歌詞、図形楽譜・文字譜、音楽スタイルなどの観点から考えます。
<紹介テキスト>
バイエル
・メトードローズ
・トンプソン
・ペース
・バスティン
・バーナム
・ピアノの学校(ハンガリー)
・アルフレッド
・オルガンピアノの本
・みんなのグローバー
・ピアノコスモス
・うたとピアノの絵本
・ピアノランド
・すくすくミュージックすくーる
・ピアノひけるよジュニア
・ぴあのどりーむ
・ピアノアドヴェンチャー
・ロシアンメソッドによる初級テキスト    ほか
お申し込みはこちらです。
http://www.piano.or.jp/seminar/list/smmb_s_info/2014211